インスペクションの誤った見方【2020-11-24更新】 | LIXIL不動産ショップ多摩センター店 中央企画

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2020-11-24

インスペクションの誤った見方

多摩センターを中心に40年以上地域密着で営業を続けるLIXIL不動産ショップ 中央企画株式会社です。
ここ最近インスペクションの記事を集中的に書いているからかインスペクションという言葉に敏感になってしまう筆者ですが、「あれ?」と思う記事を発見しました。
ということで、今回はその記事に関する説明をベースにしていきます。


 

業界内で「インスペクションの説明義務化」と認識してしまっている


改正宅建業法の施行から1年以上経過し、あれだけ大騒ぎしたはずなのに、今やすっかり落ち着いてしまった感のあるインスペクションですが、「インスペクションの捉え方が誤って進んでいないか?」と感じてしまう記事を見つけました。


 

インスペクションの説明義務化で不動産取引はどう変わる?


まず「インスペクションの説明義務化」とありますが、非常に微妙な表現です。
義務化されたのは、媒介契約書で建物状況調査のあっせんの有無の表示、重要事項説明書で建物状況調査結果報告書の有無の表示、売買契約書で、売主・買主の双方が確認した劣化事象の有無の表示、となるので、宅建業者が必ずインスペクションを説明しなければならないか?と言われると正しくありません。
※記事のタイトルや見出しなど文字数が限られているので仕方がないのはわかりますが、インスペクションに関する勘違いを誘発してしまうので、あまり適切とは言えません。
(この記事がおかしいというのではなく、説明義務化と捉えている事業者が多いのが問題です)

また、インスペクションを実施していれば安心という印象が強いようで、本来あるべき姿とはかなり遠いと感じます。


 

インスペクションは「安全か」ではなく「どこを修繕するか」を判断する材料


本ブログでも度々ご紹介しているインスペクションですが、インスペクション結果報告書が安全を担保したりする効果はありません。
インスペクションを実施する大きな目的は、改修工事です。

中古住宅なので、何かしらの不具合は生じるものです。
ですから中古住宅の取引において、事前に不具合箇所を確認し、「修繕するのにいくらかかるか」を購入判断材料にすることが重要になります。
どれだけ酷い劣化事象でも、お金をかければ直す方法はいくらでもあります。問題はいくらかかるのか?ということです。
これから長く住むにあたって、最低限修繕するべき箇所を明確にし、その修繕費用を含めて購入判断を行えば、中古を買ったら次々リフォームが必要になって、かえって高くついた、というような状況には陥りません。


 

インスペクション単体では価値はあまりない


もう一つ、インスペクションを実施するメリットとして既存住宅売買瑕疵保険があります。
インスペクションの結果、現状では問題ないと判断されたとしても、その状態がずっと続くわけではないですし、検査を実施した建築士の判断が何かで保証されている訳でもありません。
既存住宅売買瑕疵保険は最長5年・最大1000万円の安心の保険制度です。
インスペクションの結果で問題が報告されなかったら、単にその結果に喜ぶのではなくて、既存住宅売買瑕疵保険へ加入することを強くお勧めいたします。
※既存住宅売買瑕疵保険に加入するには建物検査に合格する必要があります。

インスペクションそのものに価値を見出そうとすると、いろいろと無理が出てきます。
インスペクションを実施したからといって高く売れるわけではありませんし、安全性が保証されている訳でもないのです。
そもそも既存住宅状況調査は非破壊検査で、目視で確認ができる範囲しか評価しません。
床下も小屋裏も侵入口から覗く程度です。
※実際にこの程度の検査では意味がないのではないかというクレームもあるようです。

悪いと指摘された場合は改善工事が必要なわけですから、現状では、検査と工事を分けて考えるよりも、工事を前提にインスペクションを行うといった判断の方が現実的です。



いかがでしょうか。
インスペクションの説明義務化という表現が微妙であること、インスペクションそのものはあまり価値がなく、その情報をどう活用するかが真価であることが伝われば幸いです。
多摩センターのLIXIL不動産ショップ 中央企画株式会社でした。
 

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ページ作成日 2020-11-24