中央通信コラム11月号【中央通信コラム11月号】配偶者居住権の保護。【2018-11-03更新】 | LIXIL不動産ショップ多摩センター店 中央企画

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2018-11-03

中央通信コラム11月号

こんにちは!LIXIL不動産ショップ中央企画、代表の田岡です。

今回は、いま話題の相続関連の民法改正について確認してゆきたいと思います。

 

■相続関連民法改正へ ポイントは?

高齢化社会の本格到来を迎えて、相続関連法制も変わっていきます。

「相続でもめるなんて、ウチにはそれほど資産はないから関係ないよ」と考えている方は少なくありません。しかし、相続税がかかる、かからないにかかわらず相続、すなわち財産の承継は起きます。そのときに特にもめやすいのが自宅の扱いです。

分けられないひとつの不動産に対して相続人が複数存在する、そんなときには残された配偶者が住み慣れた自宅を売却してその売却代金でもって遺産分割をせざるを得ないこともありますが、大事な配偶者と同時に自分の住まいも失ってしまうことを出来るだけ避けるような法整備がなされてゆきます。

 

(1)配偶者の居住権の保護

夫が亡くなって際に、残された妻が慣れ親しんだ自宅に住み続けられるように、妻が亡くなるまで今の住居に住むことができる「配偶者居住権」が新設されます。

 

例えば、遺産が自宅(評価額2,000万円)と預金(3,000万円)の合計5,000万円だったとします。

相続人は、妻とひとり息子の2人。

夫が遺言を残さなかったとして、法定相続だと妻と息子はそれぞれ2分の12,500万円ずつを相続します。妻が自宅に住み続けるために自宅の所有権を得ると、得られる預金は500万円。そして息子が残りの預金2,500万円を相続することになりますが、そうすると妻は、自宅は得られるものの老後を過ごすための資金が不足しがちになります。

こんなケースの時に、自宅は息子が相続して、妻には居住権を与えます。居住権の評価がどうなるかはまだわかりませんが、所有権よりは低くなるでしょうから妻の預金の取り分が増えることになりますね。

現実には、相続人が妻と息子の場合はそれほどもめるケースはないのですが、問題は夫婦に子がいないときです。子がいない夫婦で遺言を残さずに夫が亡くなり、法定相続人が妻と夫の兄弟姉妹になるようなケースですね。夫の兄弟姉妹が相続分の権利を主張してきたときには、財産を分けるために泣く泣く自宅を売却してその代金を分けないといけません。結果、妻は住まいを失うことになります。

居住権の成立要件のひとつは遺言に記すことです。

遺言で、「自宅は妻に渡す」とか、もしくは「妻に自宅の居住権を与える」とか書いていくことで奥様は安心して自宅に住み続けることが出来るようになるわけです。



 

(2)自宅を遺産分割の対象から外す

婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、遺言で妻へ贈与の意思を示せば自宅は遺産分割の対象から外れることになります。

これまでは生前贈与などで自宅を妻に渡しても実際に相続が起きた時には、その自宅分は相続財産に戻した上で遺産分割を行っていました。これを「持戻し(もちもどし)」と言います。これを婚姻期間20年以上の夫婦の場合には生前贈与の場合でも遺贈の場合でも、持戻しをしないということになります。

自宅はまず妻のものとなり、残りの現預金や不動産などの財産を相続人で分けます。実質的に配偶者の取り分は増えることになりますね。

 

長くなりましたので、今回はここまでにして続きは次回のコラムに譲りたいと思います。

ページ作成日 2018-11-03